製法のおはなし

「もろみ取焼酎」と「粕取焼酎」

本格焼酎は大きく「もろみ取焼酎」と「粕取焼酎」に分類されます。現在の主流は「もろみ取焼酎」となりました。米麹に水と酵母を加えて発酵させて酒母を作ったところに原料(米、麦、芋など)を加えてさらに発酵させてもろみを造るのですが、この時原料の糖化と発酵が平行して進みます。発酵後に、もろみを単式蒸留器で蒸留し、酒質に応じた熟成期間を経て完成します。少数派とはいえ、もちろん「粕取焼酎」も健在です。名前が似通ってはいますが、主原料として酒粕を使う酒粕焼酎とは別ものです。「粕取焼酎」は清酒を絞ったあとの酒粕をそのまま蒸留する方法と、籾殻を混ぜてから蒸留する方法があります。

常圧蒸留と減圧蒸留

常圧蒸留は昔から行われてきた製法で、蒸留器内の気圧を操作することなく通常の気圧下で蒸留されるため、沸点は100℃。よって、主原料そのものの香りや味が濃く残ることになり、苦手な方の要因にもなっていました。ただし、濃醇で香味も個性的で多くのファンに支持されているのも事実。芋焼酎や、長期熟成酒に適しています。これに対して、昭和40年代半ばから実用化され広まり始めた減圧蒸留は、蒸留器の中の気圧を下げて沸点を低くした状態でもろみを蒸留します。常圧蒸留よりも低い温度で沸騰するため、独特の揮発成分が少なくすっきりした風味の焼酎ができあがります。この方法は、麦焼酎、米焼酎に多くみられます。